太陽光パネル廃棄で不適切事例、総務省が改善勧告 感電・有害物質の対策せず

 使われなくなった太陽光パネルについて、感電防止策を取らずに放置したり、有害物質の有無を確認しないまま埋め立てたりしている事例があることが8日、総務省の調査で分かった。2030年代半ば以降、耐用年数の過ぎたパネルの大量廃棄が見込まれる。総務省は、将来に備え、回収やリサイクルの仕組みを法整備も含めて検討するよう環境、経済産業両省に勧告した。

 中川雅治環境相は8日の記者会見で「リサイクルの実施状況や海外の動向を調査しながら、適正な施策を検討する」と述べた。

 太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が12年に導入されて以降、個人住宅や売電目的の発電事業者で導入が広がった。ただ災害で設備が壊れても、パネルは日光が当たって発電が続き、不用意に触った人が感電する場合がある。また鉛やセレンといった有害物質を含んでいるパネルもある。

 総務省は15~16年度に地震や豪雨、突風などで施設損壊が確認された熊本など4道県の計6市町村を抽出調査。6市町村とも危険性を住民に注意喚起しておらず、ブルーシートでパネルを覆うなどの感電防止策を取らず3カ月にわたり放置されていたケースもあった。

 これとは別に解体や産廃処理など65事業者を選び、対応を調べた。有害物質の含有に関する情報が産廃業者に提供されないまま、使用済みパネルが遮水設備のない場所に埋められた例を確認。パネルメーカーが産廃業者に含有物質の情報開示を拒んだケースもあった。

 環境省はパネル処分に関するガイドラインを策定しているが、「不明瞭で非実用的」との業者の声もあり、総務省は有害物質を簡単に確認できる仕組みや、適切な埋め立て方法の明示が必要としている。