「光の三原色」の一つである青を認識するのに必要な「光センサータンパク質」の構造を明らかにすることに成功したと、名古屋工業大の神取秀樹教授(生命・応用化学)らの研究グループが7日、発表した。
グループはこれまでに三原色の残り2色の赤と緑を見分けるタンパク質の構造も解明しており、神取教授は「3色がそろい、今後、人がさまざまな色を識別する仕組みを明らかにできる」と期待している。
光センサータンパク質は網膜にあり、光に反応して形が変わることで別のタンパク質に情報を伝達し、視細胞を活性化させる役割を担う。グループは、人の培養細胞にマーモセット(小型のサル)の遺伝子を注入し、青センサータンパク質を大量に作製。赤外光を当てて、タンパク質を構成している分子の構造などを調べた。
その結果、赤や緑のセンサータンパク質では、内部の隙間に水分子が1個ずつ点在していたのに対し、青のセンサータンパク質では、3個程度の水分子が集まって存在していることが分かった。グループは、この水分子の集合体が、青を見るのに重要な役割を果たしているとみている。
京都大霊長類研究所との共同研究で、成果は7日付の英科学誌電子版に掲載された。