【高論卓説】「IoT時代」の特許戦略 排他的権利を活用、市場独占に重要 (1/3ページ)

 政府は5日付で、経済産業省出身で首相秘書官だった宗像直子氏を女性初の特許庁長官に起用した。このニュースと関連してというわけではないが、改めて特許がどのような役割を果たしているのか述べたい。

 そもそも、特許と聞いても抽象的なイメージしか思い浮かばない人が多いのではないだろうか。だが現代では、これまで特許が必要とされなかった業種においても、あらゆる機器がインターネットと接続する「モノのインターネット(IoT)」の発展により、特許と無関係ではいられなくなっている。

 特許権とは発明に対して付与される権利のことである。この特許権を指して特許と呼ばれることが多い。特許権者は、特許権を侵害または侵害する恐れがある者に対して侵害行為をやめるよう請求する「差止請求権」という権利を有する。

 金銭的な賠償を求める損害賠償請求をすることももちろん可能だが、相手に対して事業を中断させるよう要求することができる差止請求権は、特許権に基づく権利で一番強い権利だといえる。

特許に関するよくある勘違い