福島第1原発事故を巡る東電元会長ら3人の初公判で、傍聴券を求めて東京地裁前で列を作る人たち=30日午前【拡大】
東京電力福島第1原発事故をめぐっては、これまでに東電のほか、国会、政府、民間の事故調査委員会が検証を進めてきた。
国会の事故調査委員会は独立した立場で調査を実施。東電や原子力安全・保安院(当時)幹部らに聞き取りを行い、平成24年7月に報告書を提出した。報告書では事故の根源的原因について、安全監視・監督機能が崩壊していたことを挙げ、事故を「自然災害ではなく人災」と結論づけた。
民間の立場から調査を行った福島原発事故独立検証委員会も、事故は「人災」の性格が色濃く、「東電が過酷事故に対する備えを組織的に怠ってきたことの結果」だとした。
政府の事故調査・検証委員会も東電幹部などに聞き取りを実施した。報告書は「自然災害と原発事故の複合災害が起こるという視点が、国、自治体、電力会社に欠如していた」と指摘。東電も国も安全神話を前提に対策を取らなかったことに原因があるとした。
東電は福島原子力事故調査委員会と外部有識者による検証委員会を設置し、原発運転員らを含めて聞き取りを行った。その上で、津波想定について「結果的に甘さがあった」として、対策が不十分だったと結論づけた。
東電旧経営陣の公判では、東電や保安院関係者らの供述調書やメモなどが多数、証拠として提出されており、こうした関係者証言への評価も注目される。