政府は携帯電話大手3社と協力し、災害時に携帯電話の位置情報データを活用して車中泊の被災者らの所在を把握するシステム構築に乗り出す。昨年の熊本地震で、余震への警戒から避難所でなく車で寝泊まりする人が多く、支援が十分に行き届かなかった教訓を踏まえた。
膨大に蓄積された「ビッグデータ」を防災分野に生かす取り組みの一環で、政府が今夏に予定する実証実験に3社が参加する。どこまで正確に被災者の所在を把握できるかや、個人情報、プライバシーへの配慮を検証し、平成30年度以降のシステム運用を目指す。
3社はNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク。基地局との通信から得られる位置情報を匿名データとして提供し、地図と照らし合わせることで被災者の所在を把握、国や自治体による支援につなげる。例えば地図上の大型駐車場内で、位置情報を示すデータが夜間に集中している場合、車中泊の人が複数いることが推定されるという。
災害時のビッグデータ活用をめぐっては、国土交通省もカーナビを通じてデータを集め、被災地で通行可能な道路を割り出すシステム運用に乗り出している。