日本とブラジル両国が特許審査手続きの迅速化で合意する見通しになったことが16日、分かった。必要な情報を互いに提供することで審査を早期に行う特許審査ハイウェイ(PPH)と呼ばれる仕組みを4月1日に導入する。南米最大の経済規模を持つブラジルだが、特許審査は主要国で最も遅いとされ、進出する自動車大手などから迅速化を求める声が高まっていた。
日本特許庁の小宮義則長官とブラジル特許庁のピメンテル長官が16日午後(日本時間17日午前)、サンパウロで調印式を行う予定。
PPHでは出願企業が日本で先に特許を取得していた場合、ブラジル側が日本の情報を参照して審査期間を大幅に短縮できる。担当職員の数が少ないブラジル特許庁では審査待ち時間が平均10年と長く、ひどい時は20年程度に及ぶケースもあった。PPH導入後は、過去の事例から1年程度にまで短縮が期待できるという。
ブラジルでの日本企業の特許出願は年間2229件(2014年)と過去10年で3倍に増加。最近はトヨタ自動車やホンダなどの自動車大手が大半を占める。
従来は特許の取得に時間がかかり先端技術を搭載したモデルを現地で販売すると知的財産が侵害される懸念があったうえ、取得した頃には技術が陳腐化して競争力を失っていた。今後は塩漬けになっている案件もPPHで再申請できるため、「日本企業がブラジルに投資しやすくなる」(特許庁幹部)見込みだ。