「日本人はマナーが良くて謙虚で親切」と外国人に高評価を得ることが多い。しかし、実際にはそうでもないということを実感するようになった。教え子である留学生によく言われる。「日本人は冷たい」と。理由を聞くと、「挨拶をしても無視をされるし、分からないことがあって聞いてもきちんと答えてくれない」とのこと。
また、理不尽な日本人の態度に頭を抱えている。彼らがアルバイト先の飲食店やドラッグストアで接客をしていると、急に年配のお客さまが怒り出すことがあるそうだ。特にミスをしたわけはないと言う。実際にその場にいたわけではないので何とも言えないのだが、外国人に慣れていない年配の方が彼らの癖のある日本語にいらだちを感じたのかもしれない。
私も上海にいたときに同じような経験をしたものだ。上海に暮らし始めた頃、一生懸命中国語を話すのだが、中国人に険しい顔で「あ゛ぁ゛っ!?」と言われてとても悲しい気持ちになり、続けて話すことができなくなった。それと同時に、中国人に対して嫌悪感を覚えた。その時と同じように、留学生たちも日本人に悪印象を持っているようだ。彼らの気持ちが分かる分、とても申し訳なくなった。
昨年、ある中国人一家が日本に移住してきた。ご主人は20年ほど前に日本での留学経験がある。彼は「昔は日本人のマナーはすごく良かったけれど、今はかなりレベルが落ちている」と言う。奥さまは日本に住むのは今回が初めてで、「自分はまだ嫌な思いをしたことはないけれど、あまりマナーの良くない中国人観光客に対して横柄な対応をしている日本人を見た。でも、それは中国人の態度が良くないから仕方がない」と言った。しかし、それは違うと思う。誰に対しても平等に心を込めて接するのが日本のおもてなしではないだろうか。