水素・燃料電池関連のエネルギーフォーラムに登壇する機会をいただき、水素社会の実現に向け各地で動きが活発化していることを知りました。今回は、新しいエネルギー、水素の可能性を考えたいと思います。
◆日本の自給率わずか6%
2016年3月に改訂された政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」の「フェーズ1:水素利用の飛躍的拡大」(現在~)では、(1)燃料電池の価格低下と普及拡大(2)燃料電池自動車(FCV)を20年までに約4万台、25年までに約20万台導入(3)水素ステーションを20年度までに160カ所、25年度までに320カ所設置することを目指します。
「フェーズ2:水素発電の導入など」(20年代後半に実現)では、水素発電と大規模な水素供給システムの確立を目指し、30年ごろには水素発電の本格導入を見据えます。最終段階の「フェーズ3:CO2フリー水素供給システムの確立」(40年ごろに実現)では、再生可能エネルギー由来のCO2フリー水素供給システムの確立を図る計画です。
水素は、石油随伴ガス、製鉄所や工場で発生するガス、再エネなど多様な1次エネルギー源からさまざまな方法で製造できる2次エネルギーです。再エネと水を使って水素を製造し、必要な時に燃料電池で電気に換えることもできます。水素は、電気を運びやすく、ためやすくしてくれます。半永久的に劣化せず、大量に運べることもメリットとされます。
エネルギー自給率がわずか6%の日本。発電電力量に占める火力発電の割合が約85%(15年度)を占め、燃料輸入に毎年何兆円もの国富が流出しています。一方で、地球温暖化問題にも対応しなくてはいけません。厳しい環境・エネルギー制約がある日本で、水素は解決策の一つとなる可能性を秘めています。