米大統領選でトランプ氏が勝利した。国内外の知財専門家に知財政策の見通しを聞いたが、結論は「現状ではまったく予想がつかない」というものだった。
日本在住のある米国弁護士は「正直、知財政策に関しては未知数」と答えた。ニューヨークの法律事務所に勤める米国弁護士は「(トランプ氏勝利は)米国が前進した結果との見方もあるが、前進すればいいというものではない。子供たちにも悪影響だ」と憤慨した。
トランプ氏勝利の背景には白人中産階級の怒りがあったとされる。グローバリズムが米国民のためではなく、グローバル企業のためにあったと批判したのが「アメリカンファースト」というトランプ氏のスローガンであり、当選後も強調している。半面、まさにグローバリズムの中で深化したのが知財であり、いまや企業がグローバル展開する上で欠かせないビジネスツールだ。その知財をトランプ氏は今後、どう扱っていくのか。
「アメリカンファーストと保護主義、一国主義を結びつけながら、プロパテント(知財権重視)政策に出るとの観測が一部に出ているようだが、それほどシンプルな問題ではないだろう」と語るのは都内の弁理士だ。