海外知財ビジネスを日本へ紹介しているアイデアキャスト(東京都渋谷区)は、日本企業向けなどに米国特許の重要度スコア検索を無料で利用できる日本語のサイトを開設した。オーストラリア発の知財サービスベンチャーであるアンバーサイトが開発、提供する特許調査・分析支援ツール「アンバースコープサーチ」の「アンバースコア」機能を利用できるようにしたものだ。
アンバースコアが提供する特許重要度スコアは、独自のネットワーク分析アルゴリズムを用いている。被引用特許の数だけではなく、直接的・間接的な引用・被引用の関係、引用の新しさ・古さなど複数の要素から算出。過去20年間に出願された特許群を基に、その平均的スコアを1として、調査対象特許のスコアが1以下ならば平均以下の、1以上ならば平均以上の重要度と評価し、数値が大きいほど、重要度が高い可能性を示す。
実際に米国特許侵害で高額な賠償金が認められた特許についてアンバースコアを検索してみると、「エドワーズライフサイエンス対メドトロニクスコアバルブ事件」で陪審が3億9400万ドル(約410億円)の損害賠償を認めた米国特許「8002825」のスコアは8.7で「Very Nice!!」の評価。「ヴィアサット対SSL事件」で陪審が2億8300万ドルと認定した3つの特許の一つ「8107875」は2.92で「Good!!」だった。ともに重要特許であることが瞬時に確認できた。なお、事例のアンバースコアは、24日時点のものである。
日本語サイトでは、スコア算出と同時に、調査対象特許と引用関係がある特許の中でスコアの高い上位5位までの特許番号とそのスコア、類似度が高い上位3位までの特許番号とそのスコアについても算出して表示する。
アイデアキャストの平沼紀明代表は「アンバースコープサーチは特許調査・分析の精度とスピードを向上させるツールである。自社や他社の持つ特許評価は難しい。特許の棚卸し、特許の売買やライセンス、投融資などで特許の価値評価をする際の参考としてアンバースコア機能を試してみてほしい」と話している。
発明家や研究者も自分の特許価値をこっそり見ることができる。実際、高スコアなら米国でもうけることも可能かもしれない。そんな夢も広がるサービスである。(知財情報&戦略システム 中岡浩)