2016.9.15 05:00
≪図2014年9月11日午前8時25分の神戸市付近における雨雲の分布≫解像度100mのシミュレーション結果は、観測データに非常に近いことが分かる【拡大】
□理化学研究所 計算科学研究機構 研究部門 データ同化研究チーム チームリーダー・三好建正
■「京」と最新鋭気象レーダを生かしたゲリラ豪雨予測
現在のスーパーコンピュータを使った天気予報シミュレーションは、方眼紙のように日本全体を縦横1kmより大きなマス目に分割し、1時間ごとに新しい観測データを取り込みながら行っている。しかしゲリラ豪雨のように、わずか数分の間に積乱雲が急激に発生・発達するような現象を予測するには、非常に短い時間間隔で新しい観測データを取り込む必要がある。また1kmより大きなマス目では、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲を十分に表現できない。
そこで、理研の科学者を中心とした国際共同研究グループは、理研のスーパーコンピュータ「京」と、「フェーズドアレイ気象レーダ」という最新鋭の気象レーダを生かし“観測エリアを100m単位の細かなマス目に分割した上で、30秒ごとに新しい観測データを取り込んで更新する”という、これまでとは桁違いに高精度な天気予報シミュレーションを実現し、実際のゲリラ豪雨の動きを詳細に再現することに成功した。
天気予報の根幹をなすのは、シミュレーションと実測データを組み合わせる「データ同化」と呼ばれる手法である。次世代の高精細シミュレーションと高性能センサを組み合わせる革新的な技術により、今回、従来とは桁違いのビッグデータを生かす「ビッグデータ同化」を実現した。この技術により、これまで想像もつかなかったような高速かつ高精細な天気予報が可能となり、天気予報に革命をもたらすことが期待できる。
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