近年、注目を集めているのが「大人のADHD(注意欠陥多動性障害)」だ。ADHD専門外来を担当する昭和大付属烏山病院の岩波明院長は「成人の総人口の3~4%と、鬱病とほぼ同数。しかし、自分がそうとは気付かず、日々の生活に苦しんでいる人が多い」と指摘している。
子供は適応取れるが
ADHDは、脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンとドーパミンの機能障害が原因といわれ、生まれながらの疾患だ。「落ち着きがない」「順番を待てない」「気が散りやすく、忘れっぽい」などの症状が特徴で、「多動性」「衝動性」「不注意」に分類される。子供の頃は多動性・衝動性優勢型、不注意優勢型、混合型がある。
大人になると、多動性や衝動性は本人のコントロールなどで比較的目立たなくなるのに対し、不注意はより大きな問題になってくるケースが多い。
Aさんは有名私大を卒業後、大手電機メーカーに勤務。単純な事務作業を任されたが、些細(ささい)なミスを繰り返し、たびたび注意を受けた。作業中に声をかけられると、何を優先させていいのかわからなくなる。