2016.3.26 05:00
特許庁主催の国際シンポジウムで講演するリンゲス氏=16日、東京・大手町の経団連会館【拡大】
政府はこれまで打ち出した「日本再興戦略改訂」や「産業競争力の強化に関する実行計画」で、IoT(モノのインターネット化)時代到来への検討を早急に進める方針だが、知財業界からは悲観的な声が出始めている。アベノミクスはIoTにどう対応していくのか。
ある政府関係者は最近「多くの産業で将来、上流から下流まで外資系の傘下に組み込まれる可能性がある。非常に悩ましい」と漏らした。2020年の東京オリンピック開催をてこに経済再生を進めた先に、すでに大きな課題が見えてきているという。時を同じくして「日本企業はセンサー分野以外、生き残れないのではないか」という声が、都内にある複数の国際知財コンサルタントから聞かれるようになった。IoTの基盤技術はセンサー、データ解析、クラウドなどだが、センサー以外の重要特許はほとんど欧米企業に押さえられているからだ。
そのセンサーですらIoT化でクラウドとの接続などを行う際に日本が主導権を握らないまま標準化されれば「企業はオープンな環境の下に競争にさらされ、いくら高度な技術を開発しても低価格化を余儀なくされる」と都内の大学関係者は予測する。