【生かせ!知財ビジネス】IoT時代の戦略構築 課せられる1年に (1/2ページ)

2016.1.16 05:00

「産総研国際標準推進戦略/NEDO出口戦略シンポジウム」。IoT時代の知財戦略はどうなるのか、論議が始まっている=2015年12月16日、東京・内幸町

「産総研国際標準推進戦略/NEDO出口戦略シンポジウム」。IoT時代の知財戦略はどうなるのか、論議が始まっている=2015年12月16日、東京・内幸町【拡大】

 10年ほど前、米国の著名な知財投資会社が家や自動車に関する発明を集めていると知財関係者の間で話題になった。その狙いを都内のある弁理士は「インターネットに接続する世界のポートフォリオを掌握すること」と説明していた。今思えば、IoT(Internet of Things=モノのインターネット化)への準備が既に始まっていたわけだが、当時多くの日本企業は技術の自前意識が強く、グローバル競争時代の入り口でオープンイノベーションを学び始めたばかりで、IoTの重要性など強く意識していなかったのではないか。

 今年はIoTを企業の知財戦略の中でどう捉え、対応していくかが知財業界の大きな課題として浮上する。だが「この1年かけて整理がついてくるのでは」(大学教授)と言うように、学術的な研究も緒についた段階にすぎない。Thingsを“モノ”と訳すことも、ある知財研究者は「むしろ“コト”に近い。“モノ”と訳すのは日本はモノづくりの国だとの願望が働くからだ」と“コトづくり”(ビジネスモデル)の重要性を指摘する。

 例えば「家をインテリジェント化するコト」を題材に新たな市場化を図る場合、「家のさまざまなモノ」はコトづくりの構成要素になる。各社が独自のモノづくりを進めていては、目標達成はできない。

 企業の知財部門は自社事業と研究開発の間でニーズとシーズを見極めながら、自社事業に有効な研究開発成果を選んで知財権として戦略的に獲得していく仕事をしてきた。だが、今後はその視線を自社や競合先へ向けるだけでは済まなくなる。コトづくりを成すために参画する世界中のあらゆる分野の企業の事業や研究開発、知財権に加えて保有情報やデータに目配りし、サプライチェーンとの相関の中で自社の占有できる市場や収益、存在感を確保するための調査、戦略構築が求められる。自らコトづくりを提唱、発信する積極策も必要だ。

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