東京電力福島第1原発事故の刑事責任をめぐり、東京第5検察審査会(検審)は31日、業務上過失致死傷罪で告発された勝俣恒久元会長ら(75)旧経営陣3人について、起訴を議決したと発表した。3人は強制的に起訴され、裁判所に指定された弁護士が検察官役を務める公判で刑事責任の有無が判断されることになる。強制起訴は平成21年5月の制度導入以来、9件目。
起訴を議決されたのは、勝俣元会長のほか、武藤栄(65)と武黒一郎(69)の両元副社長。
この問題をめぐっては、福島県民らでつくる「福島原発告訴団」(武藤類子団長)が24年6月、東電や政府、原子力安全・保安院(廃止)の関係者ら計42人について、「事故は予見可能で、対策を怠った」として同罪などで告発。捜査した東京地検は25年9月、「予見は困難で、刑事責任を問うのは困難」として全員を不起訴とした。告訴団から審査を申し立てられた検審は26年7月、勝俣元会長ら3人について「注意義務を怠った」として起訴相当を議決。議決を受けた東京地検の再捜査でも3人は再び不起訴となり、検審が2回目の審査をしていた。