2015.7.11 05:00
中小企業向けの特許情報調査支援事業が6月に相次いで登場した。発明推進協会(JIPII)は「中小企業等特許情報分析活用支援事業」(特許庁委託事業)を、また、日本特許情報機構(Japio)は「中小企業等特許先行技術調査支援サービス 国内・海外調査」(独自支援事業)をそれぞれ開始し、利用を募っている。
特許情報調査は特許性の有無や出願動向などを確認するため、特許公報や技術文献などを検索し、分析する。中小企業では費用負担や専門知識がネックとなってきたが、支援事業によって利用が促されれば、知財活動の高度化を図れる上に「中小企業の知財環境整備につながる」(特許庁関係者)とみる。
JIPIIの支援事業は、中小企業が研究開発戦略の方向性を検討するのに役立つ。競合他社の動向を分析したり、出願前に特許権取得の可能性を推定できるほか、出願せずにノウハウとして秘匿化する戦略の妥当性を判断する材料にもなる。調査内容や調査会社は、JIPIIが利用者からニーズを聞き取って選定を支援し、調査結果が依頼内容に一致していることもチェックする。調査費用が100万円以内なら利用者の金銭負担はない。用意される利用枠は年50件だ。
利用者が特許出願を終え、審査請求の是非や出願の補正を検討する際に便利な調査もある。例えば利用者が調査会社を指定して1万800円を負担すれば実質6万円の調査費用が支援される(調査規模で負担額は増加)。利用枠は年1000件。JIPIIは「年度内に特許情報活用の好事例集を作りたい」(幹部)としている。