2014.12.12 05:07
アジア各国で知的財産制度の整備を支援するため、特許庁が特許審査官の海外派遣を拡大することが11日、分かった。年度内に初めてマレーシアとインドネシアに派遣するほか、地域の知財拠点を目指すシンガポールの特許機関には、日本人審査官が幹部として長期赴任する。各国で特許認定を判断する審査官を指導しながら、“日本式”の移入を通じて日系企業の知財ビジネスを後押しする。
特許審査は国により手法が違い、創意や工夫が特許に値するかどうかの判断が異なる側面もある。審査手法になじまない出願が拒絶されたり、認定まで長期化するケースもある。
日本人が各国の特許機関の幹部となって指導にもあたることで、各種の特許申請の際、「日本企業が“ホームグラウンド”のように手続きを進められる」(特許庁幹部)といい、日系の知財ビジネス展開を下支えする効果が期待される。
特許庁は21カ国・地域に審査官の派遣実績がある。日系の進出が加速するアジアでは昨年度、インドやベトナムなどに新たに派遣。さらに年度内にマレーシアとインドネシアにも送り出す。
アジアでは日本の制度が進んでおり、特許庁は審査官派遣や各国からの研修受け入れに協力してきた。
これまで派遣期間は長くて3カ月だった。特許庁は派遣国を増やすほか派遣期間を長くする。シンガポール知的財産庁(IPOS)に審査官を15日に赴任させ、IPOSに数人しかいない「上級審査官」として電機・IT分野の審査業務を3年程度担当させる。