2014.11.14 08:35
【島が危ない 赤サンゴ 迫る群影(2)】
夜間、父島では異様な光景が広がる。高台から海を望むと、島をぐるりと囲むように中国漁船の光であふれる。光を追う海上保安庁の巡視船のサーチライトも回り続ける。小笠原村総務課長の渋谷正昭さん(57)は「自慢の星空が台無しだよ」と漏らす。
1隻の中国漁船にはおよそ10人が乗っているとみられる。100隻だと単純計算で千人。「父島の人口の半数に匹敵する中国人に囲まれているようなものだ」と住民は口をそろえる。
11月上旬に台風20号が接近した際、中国人の上陸はなかったが、万一の悪天候のときには押し寄せてくる恐れもある。警視庁が応援派遣した28人の機動隊員らがパトカーで頻繁に付近を巡回しているが、住民の不安は尽きない。
長女が生まれたばかりの主婦、佐々木里美さん(38)は「密漁するくらいなので、上陸して犯罪に手を染めないか心配」。飲食店を営む高谷裕一さん(53)は「上陸されれば、島もあっという間に乗っ取られる」と危ぶむ。