2014.9.18 12:18
大学などが保有する未利用特許や基礎研究の成果を、公的研究機関の仲介で中小・ベンチャー企業に斡旋(あっせん)し、事業化する仕組み作りについて政府が検討を始めることが17日わかった。
産学官の連携強化で、独自の発明成果や将来性のある基礎研究を発掘し、日本企業の稼ぐ力につなげる狙いだ。政府は早ければ来年度にも一部の公的研究機関で先行して実施する。
公的研究機関では、独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などを対象に、産学官の仲介機能強化を想定している。
あわせて具体的な数値目標を設定し、民間企業と大学とによる大規模な共同研究の件数拡大を図るほか、将来の技術開発・産業振興につながる研究テーマの設定や、マーケティング・知的財産管理の強化などを検討する。同様の取り組みを行っているドイツのフラウンホーファー協会など、海外の事例も参考に、産学官連携のあり方を改革する方針だ。
将来的には産総研やNEDOにおける取り組みの成果を踏まえ、他の公的研究機関でも産学をつなぐ“橋渡し”機能を強化する。大学と公的研究機関、企業の研究開発部門間の人材や技術の交流、研究推進体制の強化につなげる考えだ。
特許庁によると、国内における特許権所有件数は平成24年度で約146万4千件にのぼる。だが、約70万8千件が未利用で約半分が活用されていない。
政府は、まだ事業化に至っていない未利用特許や独自の基礎研究でも、中小・ベンチャー企業などが複数の特許を活用すれば、新しい事業や新製品につながる可能性があるとみている。