東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷などの罪で告発された東電の勝俣恒久元会長(74)らを不起訴とした検察の処分について、東京第5検察審査会は31日、旧経営陣3人を「起訴相当」と議決したことを明らかにした。議決は23日付。検察は再捜査に着手し、刑事処分をもう一度判断する。
市民団体が不起訴処分を不服として検審に審査を申し立てていた。再捜査の結果、検察が再度不起訴とした場合、検審はもう一度審査を実施。「起訴すべきだ」と議決した場合、3人は強制的に起訴される。
検審が起訴相当としたのは、勝俣氏のほか、武藤栄元副社長、武黒一郎元フェローの3人。小森明生元常務を「不起訴不当」、鼓紀男元副社長と榎本聡明元副社長を「不起訴相当」とした。
議決では旧経営陣について「安全性の確保のために極めて高度な注意義務を負う。想定外の事態も起こりうることを前提とした対策を検討すべきだ」としたうえで、勝俣氏について「想定を超える津波の襲来する可能性についての報告に接していたと考えられる。最高責任者として適切な対応策を取らせることが可能だった」と判断。武藤氏、武黒氏については「適切な措置を取るべきことを指示し、結果を回避することができた」と指摘した。
検察当局は平成24年8月に市民団体からの告発を受理し、東京地検と福島地検が捜査を開始。昨年9月に事故の原因を東日本大震災で襲った津波による電源喪失と認定したが、同規模の地震や津波は「具体的に想定されていなかった」などとして、告発された勝俣氏ら42人を不起訴とした。
これを不服とした市民団体は東電の旧経営陣6人に絞り、検審に審査を申し立てていた。