【生かせ!知財ビジネス】引き継がれるパトリスの資産と精神 (1/2ページ)

2014.7.26 05:00

NRIサイバーパテントの高野誠司社長。パトリスのデータ資産だけでなく「精神を守ることにも貢献できた」と自負する

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 特許情報サービス大手のNRIサイバーパテント(以下NRIサイバー、東京都千代田区)は、オンライン特許検索サービス「パトリス(PATOLIS)」を引き継ぎ、検索・閲覧オンラインサービス「NRIサイバーパテントデスク2」で提供を始めた。また新たに、他のオンラインサービス事業者などに、同データのバルク(技術分野などでまとめたデータ)販売を開始した。

 検索サービス「パトリス」を運営していた旧「パトリス」は2001年に財団法人から民営化されたが、厳しい経営が続き、09年に民事再生手続きを開始した。事業を引き継いだ「新川情報」は今年1月に全サービスを停止、同社からNRIサイバーがパトリスの商標権と抄録・フリーキーワードの全著作権を買い取った。

 NRIサイバーは昨年3月以降、新川情報から1971~2012年分のデータ供給を受けて提供してきたが、これで13年分を含む全データの販売が可能となった。

 パトリスは日本のオンライン特許検索サービスの草分けで、代名詞となってきた。国策で開発された日本で最も重要なデータベースの名称でもある。NRIサイバーの高野誠司社長は「日本企業としてパトリスのデータ資産だけでなく、名称、精神を守ることにも貢献できたのではないか。今後も引き継いでいきたい」と話す。

 正確な特許情報と抄録、そして正確に検索するための技術用語などを整理したフリーキーワードは、これまで国や国内の企業・研究機関の競争戦略の基盤だった。その重要性からパトリスの存続について、データベース関連の外資系企業が名乗りを上げた時期もあった。

 パトリス抄録は、専門家が特許明細書を読み、要約を書き起す人手による制作で、多くの経費がかかった。高い評価の裏には高いコストがあり「民営化後のパトリスの経営圧迫要因の一つになったのでは」(中堅の特許情報サービス企業トップ)と業界内でも指摘されている。

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