■洋上風力2000万キロワットのロードマップ作成を
洋上風力発電は国内各地で実証運転が始まり、今年度から再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の対象となるなど拡大機運が高まっている。ただ、本格普及への将来計画がないため、東京大学大学院の荒川忠一教授は「2030年までに2000万キロワット導入計画をつくれば関連産業も育つ」と強調する。
--福島沖などで洋上風力の実験が始まった
「環境省によると、経済性も加味した国内の風力発電導入可能量は、陸上で2.7億キロワット、洋上で1.4億キロワットとしている。私は洋上で30年までに2000万キロワットを導入できると主張している。設備利用率30%として、全電力量の5%だ。1基で1万キロワットの風車が実用化間近なので、それを100基備えたウインドファームを20カ所つくればいい。北海道や東北、九州など適地は多いから現実的計画だ」
--洋上風力は陸上よりもコスト高だ
「洋上風力の建設費は着底式で1000キロワット10億円とされる。100万キロワットなら1兆円だ。2000万キロワット導入というロードマップをつくれば20兆円になる。風車は約20年でリプレースするから、平均で年間100万キロワットつくる計算になり、周辺産業も含め1兆円市場ができる。産業界も設備投資できるようになり、量産によって設備や港湾などのコストも下がる。国土交通省は漁業権の問題が比較的少ない港湾で風力導入を検討している。こうした場所を利用すれば漁業とも共存するサクセスストーリーができる」