発覚から約4カ月が経過したSTAP細胞の論文不正問題は、まだ多くの課題を残している。最大の問題はSTAP細胞が本当に存在するかどうかだ。
理化学研究所は小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)が発表した手順に基づき、細胞を作製できるか確かめる検証実験を4月に開始した。7月にも中間報告を公表し、来年3月までに結論を出す予定で、細胞の存否はまだ謎だ。
理研は当初、検証実験に小保方氏を参加させない方針だった。だが下村博文文部科学相が早く結論を出すため参加させるよう求めたことなどから、小保方氏は5月下旬以降、時折立ち会っているという。改革委員会も参加を求めているが、実験の客観性をどう担保するかが課題だ。
論文に付随して公開された遺伝子データでは、胚性幹細胞(ES細胞)の混入を疑わせる解析結果も出ており、STAP細胞への疑念は一段と強まっている。
論文は小保方氏ら全責任著者が既に撤回に同意しており、掲載した英科学誌ネイチャーは近く取り下げの判断を下すとみられ、研究成果が白紙に戻るのは時間の問題だ。
一方、理研は小保方氏の懲戒処分を検討中で、今月中にも発表するとみられる。規定では懲戒解雇か諭旨退職が原則だが、情状によって軽減される場合もある。小保方氏側は「不正認定は誤りで解雇などの処分は違法」として法廷闘争も辞さない構えだ。
小保方氏は早稲田大時代の博士論文でも約20ページに及ぶ文章などの盗用疑惑が指摘されている。同大は今月中にも調査結果を公表するとみられ、博士号が剥奪される可能性もある。