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2014.5.15 05:00

細胞デザインコア合成生物学研究グループグループディレクター・上田泰己氏

細胞デザインコア合成生物学研究グループグループディレクター・上田泰己氏【拡大】

 ■成体の脳を透明化し1細胞解像度で観察できる技術

 □理化学研究所 生命システム研究センター 細胞デザインコア 合成生物学研究グループ グループディレクター・上田泰己

 脳は神経細胞の複雑なネットワークで構成され、多様な生体機能を制御している。こうした機能を理解するには、脳を有機的なつながりを持つシステムと捉えるシステム生物学的なアプローチが必要となる。その方法の1つとして注目されているのがイメージング技術である。しかし、脳のような大きな組織を高解像度、かつ3次元画像で高速に取得するには特殊な顕微鏡「シート照明顕微鏡」が必要となる。しかし、この顕微鏡を使うには試料(サンプル)が透明であることが絶対条件だ。これまでも脳を透明化してイメージングする手法があったが、蛍光シグナルの保存性が悪い、複数サンプルの同時透明化による比較が難しい、あるいは透明度が低いなどの問題があり、完全なものとはいえなかった。

 理化学研究所の研究グループは、こうした問題を全て解決できる透明化手法の開発に取り組み、脳内遺伝子の機能や神経ネットワークの網羅的な解析を可能とする基盤技術「CUBIC(キュービック)」としてまとめた。アミノアルコールが尿素処理による生体脳の透明化を促進することを発見、従来に比べ数段優れた透明化能力がある試薬の開発に成功した。これにより、シート照明顕微鏡の利用が可能になり、1細胞解像度でマウスの脳全体のイメージを1時間ほどで取得できるようになった。また、脳全体の解剖学的な構造情報が取得できる染色方法も開発、これで得た構造情報を利用して3次元の全脳イメージを標準化し、異なる脳サンプルとの比較もできるようになった。

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