携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」に使用されている技術で特許を侵害されたとして、山梨県富士河口湖町のソフトウエア技術者、斎藤憲(のり)彦(ひこ)さん(57)が、米アップル日本法人に100億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、知財高裁であった。飯村敏明裁判長は1審東京地裁判決に続きアップル側の特許権侵害を認め、ほぼ同額の約3億3千万円の支払いを命じた。
問題となったのは「クリックホイール」と呼ばれる円形の操作盤。表面を指でなぞったり、内蔵のボタンを押すことで、楽曲の選択や音量調節ができる。片手でスムーズに操作できる点が人気を呼び、国内では平成16年以降に搭載機種が発売された。
音楽を聴けるスマートフォン(高機能携帯電話)や、タッチパネル方式のアイポッドの普及により、現在の販売台数はそれほど多くないとみられる。
訴状などによると、斎藤さんは10年にこの機能を開発し、18年に東京都内の会社名義で特許が認められた。
1審判決は「同じような特許はすでに認められており、斎藤さんの技術に新規性はない」などとするアップル側の主張を退けた上で、特許内容と搭載技術が一致すると判断。その一方で、「発明の技術内容や程度が高度なものとは認めがたい」などとして、賠償額は斎藤さん側の請求を大幅に下回る認定とした。
アップル側は特許権侵害を認めた判決に対して、控訴。斎藤さん側も賠償額を不服として控訴していた。