企業のガバナンスに詳しい企業コンサルタント・大関暁夫氏
これまでのいきさつを見ても、理化学研究所は単なる科学者の集まりになっていて、組織としてまったく機能していない。そもそも小保方晴子氏、笹井芳樹氏という同じ組織に属する人間が別々に会見をすること自体が、一般的な感覚からするとおかしく思える。
このままでは、笹井氏の会見での発言にまた誰かから反論やコメントが出てきて、まともなコミュニケーションができなくなってしまう。本来なら理研が関係者を一堂に集めてそれぞれの意見を聞き、持っている資料を集めて論点整理することが必要だ。その上で、研究者の間に異なる認識があることも含めて表に出すべきだ。それが組織マネジメントというものだ。それができないと、根拠の薄い醜聞や噂話ばかりが出回ってしまう。
理研には、最初にSTAP細胞についての会見をした責任がある。研究機関は一般企業とは違うという指摘もあるが、理研は行政が担っていた分野を民間のような効率重視で運営していくことが求められる「独立行政法人」だ。独法として統率力を持った適切な運営が求められているわけで、法人組織としての意識を持たなければいけない。
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近畿大農学部、伊藤龍生教授(再生医学)
STAP研究の詳細なデータが語られることを期待したが、理屈ばかりでデータは何も示されなかった。データのない『有力な仮説』をどう信じろというのか。何も明らかにならないことに違和感を覚えた。STAP細胞には実在してほしいと思うが、特許に関わるとしてデータを隠すのは疑問だ。第三者機関と秘密保持契約を結んで検証を働きかけるなど、やり方はある。小保方氏がいないと再現できないなら、このままでは本当に『夢の細胞』で終わってしまう