2014.3.27 05:00
■正しい情報で「怖がりすぎず侮らず」冷静に判断
<聞き手>フリーアナウンサー・田崎日加理さん
放射線は人体にどのような影響があるのか、そしてどう向き合えばいいのか。臨床医・医学者として、長崎の原爆やチェルノブイリ原発事故の被ばく者の治療と調査に当たってきた長崎大学名誉教授の長瀧重信氏(放射線影響協会理事長)に聞いた。
レントゲンなどによる年平均被ばく線量は3~4ミリシーベルト
田崎 私にとっての3・11は、ちょうど出産の直後で、新聞やテレビのニュースを毎日見ながら不安な日々を過ごしていました。あれから3年がたち、放射線についてはいまだに怖いというイメージを拭い去れません。子供を持つ親として一番気になっている放射線と人体への影響について聞かせてください。
長瀧 いま、怖いとおっしゃいましたが、放射線は正しく怖がることが大事です。正しく怖がるとは、正しい知識を持ち、怖がりすぎない、しかし、侮ってもいけないということ。これが基本です。私たちは日々の暮らしの中で、宇宙や大地、大気といった自然界、そして食物から年間平均2~3ミリシーベルトの放射線を受けています。また、レントゲンやCTスキャンなどの医療放射線(診断)は年間被ばく量が平均3~4ミリシーベルトになります。このように、私たちは常に放射線を受けていますが、一度に大量の放射線を浴びると人体にもさまざまな影響が出ます。だからこそ、放射線の影響を考えるうえで、どのくらいの線量を浴びたらどうなるのか、何が起きるのかということを正しく知っておくことが一番大切なことなのです。そうでないと怖がりすぎたり、侮ったりすることになります。