■企業の国際化ニーズに対応
--特許審査期間を約3分の1に短縮するFA11を3月末に達成するが、その後の展開で重要な点は何か
「ユーザーが何を欲しているかについて徹底的に応える姿勢だ。着任後数カ月間かけて、出願上位30社の大手企業を木原美武特許技監と訪問し、直接トップから話を聞いた。例えば、グローバルで比較すると日本企業は欧米企業より国内出願重視の傾向がある。インフラ輸出など海外展開をしていく動きがあるにもかかわらず、海外の権利化ではまだまだ。こういう疑問をトップにぶつける中でわれわれは何ができるかを考えている。中小や地域の企業には中小企業知財戦略支援総合調整官というポストを新設して一生懸命ニーズをくみ上げている」
--具体的にどういうニーズに対応していくのか
「やはり国際対応だ。例えば企業は今、海外の先行技術調査で中国の情報を迅速かつ分かりやすく提供してもらえるインフラを望んでいる。確かにグローバルな活動をする大企業などでは中国語文献に独力で対応する能力があるが、多くの企業、特に中小企業やクリエーター、個人ではそうはいかない。特許だけでなく商標やデザインを含めて海外の情報を公的なインフラから、どのような形で利便性を高く提供していくかが課題だ」