■審査迅速化策“FA11”達成へ
2014年、第3の矢の成果が問われる。わが国経済を本格的な成長軌道に乗せるため、特許庁はどう動こうとしているのか。羽藤秀雄長官に聞いた。
--知財立国宣言(02年2月)から12年たった
「まさに節目にいる。国際競争力向上には発明の早期権利化が重要だが、今年度末(14年3月末)、FA11がいよいよ達成される。出願人が特許庁へ審査請求し最初の審査が始まるまで、平均30カ月間もかかっていたのが11カ月間まで短縮される。振り返ると知財立国宣言以降、特許庁は国内での政策の柱を審査におき、世界最高水準の迅速化、効率化をめざして、産業界の協力を仰ぎながら、一生懸命にやってきた」
--海外関連施策は
「審査迅速化に注力していた間、海外環境は大きく動いた。各国企業の国際出願が増え、主要特許庁間では特許審査ハイウエーである種のワークシェアリングを目指すなど、国際的な制度調和の議論が進み、各国一緒に共通のインフラを大事に育てようという動きがあった。日本も工夫してこの動きに対応してきたが、(各国を)積極的に主導する域までには至らなかったのではないか」
--主導というのは特許庁の海外戦略の部分か
「この間、海外ではもう一つ注目される動きが見られた。例えばEPO(欧州特許庁)は自ら人員を抱えて独自に(特許検索)システムを開発し、それをどう海外へ展開して提供し、域外の顧客を獲得していくかを考え始めた。EPOは米国と一緒に自らが主導する特許分類体系CPCを推進し、中国や韓国をはじめ新興国などの囲い込みへともに歩を進めた。このように各国オフィス(特許庁)は戦略的な海外展開を意識し動いてきた」