希少価値で「海のダイヤ」とも呼ばれる高級魚クロマグロ。乱獲による資源減少で世界的に漁獲規制が厳しくなる中、近畿大学水産研究所(和歌山県)が世界初の完全養殖に成功した「近大マグロ」のブランドが浸透しつつある。百貨店がお歳暮商戦の目玉商品に取り上げ、JR大阪駅北側の複合ビル群「グランフロント大阪」(大阪市北区)では養殖魚専門店が大人気。着々と消費者との接点を拡大する近大マグロは、日本の食卓を席巻するかもしれない。
知名度着々と浸透
関西でお歳暮商戦が始まった16日午前、高島屋大阪店(大阪市中央区)の特設コーナーに人だかりができていた。買い物客の目当ては「媛(ひめ)マグロ」。試食の刺し身は飛ぶようになくなっていった。
媛マグロは大阪の鮮魚店、新魚栄の商品。近大マグロの稚魚を愛媛・宇和島に運んで成魚に育てたもので、「身が締まって赤身がおいしい」(同社)という。