茂木敏充経済産業相は6日、北海道、東北、四国の3電力が申請していた家庭向け電気料金の値上げを認可した。これで東日本大震災以降、値上げを申請した6電力の認可内容が出そろった。燃料費の上昇を自動的に毎月反映させる値上げ分も含めると、震災前と比べた標準的な家庭の電気料金の上げ幅は6電力の平均で18.5%に達する。円安進行に伴う輸入コストの上昇から食料品など生活必需品の値上げも相次いでおり、家計には大きな打撃となる。
原発の稼働停止の長期化で、代替する火力発電の燃料費が膨らんだことが理由。6日に認可された3社の値上げ幅は北海道電が平均7.73%、東北電は8.94%、四国電は7.80%。料金体系を抜本的に見直す値上げは東北電と四国電が33年ぶり、北海道電が32年ぶりで、いずれも9月1日から実施する。
「被災地を抱える電力会社として全社一丸となって徹底した効率化に努める」。東北電の海輪誠社長は経済産業省内で6日、上田隆之資源エネルギー庁長官にこう強調した。北海道電の川合克彦社長は認可後、記者団に「(利用者に)多大な負担をかけ申し訳ない」と語った。
2月に東北電が11.41%、四国電が10.94%、4月に北海道電が10.20%の値上げをそれぞれ申請していたが、審査した経産省の専門委員会が人件費などの削減を求め、値上げ幅が圧縮された。四国電の千葉昭社長は「非常に厳しく、深刻に受け止めている」と述べた。
家庭向けの値上げに伴い、国の認可が不要な企業向けも値上げする。値上げ幅は北海道電が平均11.00%、東北電が15.24%、四国電が14.72%になる。
燃料費の膨張で国に値上げの認可を申請したのは、先行した東京、関西、九州の3電力を加えた6電力。中部、北陸、中国、沖縄の4電力は現時点で申請を予定しておらず、震災後の値上げの動きは一巡した形だ。
6電力とも企業向け料金も連動して値上げしており、第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは、国内総生産(GDP)を3年後に約0.6%押し下げる要因になると試算。日本経済には重荷となる。
6電力の電気料金の算定は原発の再稼働を前提にしているが、「想定外の遅れ」が目立つのが現状。このまま燃料費が膨らみ続ければ再値上げも視野に入る。電気料金のさらなる上昇は、国内産業の空洞化に拍車を掛けるリスクもはらんでいる。
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■電力6社の家庭向け電気料金の値上げ状況
2013年9月 11年2月 上げ幅
北海道 7030円 6177円 13.8%
東北 7481円 6275円 19.2%
東京 8004円 6234円 28.4%
関西 7703円 6391円 20.5%
四国 7467円 6581円 13.5%
九州 7197円 6226円 15.6%
※標準家庭の月額、東日本大震災直前との比較。燃料費上昇を自動的に反 映させる値上げ分も含む