日本で学校教育を受けた長男、長女は独立し、日本で暮らす。夫妻も中国に帰るつもりはない。「(故郷は)寒いところだから。もう年だから」。テレビから中国語が響く。日本人に友人はいない。
■外国人の生活保護■
生活保護法の対象は国民に限られ、本来外国人には支給されない。ただ、昭和29年に旧厚生省が出した通知により、生活に困窮する外国人への「準用」が認められた。具体的には永住者や定住者、日本人の配偶者など、入管難民法上の「身分または地位」に基づく在留資格があれば受給できる。一方で、仕事で来日している外国人や留学生、技能実習生ら「活動」に基づく在留資格者は保護の対象にならない。
外国人の受給をめぐって大きな騒動となったのが平成22年に大阪市で発覚した中国人の大量申請問題。中国残留邦人の親族とされる中国人40人あまりが入国直後に申請したため、生活保護目的の来日が疑われた。
入管難民法は国や自治体の負担になる外国人の入国を禁止しており、「入国審査が形骸化している」と批判が集まった。この問題を受け、法務省は資格審査の厳格化を各入国管理局に通知した。