20カ国・地域(G20)会議の議長国となったロシアは、来年にはソチ冬季五輪と主要8カ国(G8)首脳会議の自国開催を控え、この機会に国際社会での発言力を高め、大国復活への足がかりにしようともくろんでいる。強いロシアを目指す国家戦略に組み入れられたのが「ソフトパワー」の活用。プーチン大統領は自ら「ロシアのブランドイメージを上げよ」と官僚らに大号令をかけている。
ソフトパワーとは、軍事力や経済力といった「ハードパワー」と対比される概念で、その国の文化や洗練された価値観を通して他国に影響を及ぼす力のこと。元米国防次官補のジョセフ・ナイ氏が提唱した。
ポップカルチャーや独自の食文化などを世界に普及させ、日本製品の付加価値を高める「クール・ジャパン」戦略もソフトパワー活用の一環とされる。
ロシアでは昨年5月のプーチン政権発足直後、プーチン氏自身がこの概念を使い始めた。持続的経済成長のキーワードである「安定性」「近代化」とともに、政府閣僚らの間で一種のはやり言葉になっている。