ソウル高裁が1月3日、靖国神社放火事件の劉強容疑者を政治犯とみなし、日本への引き渡しを不許可とする判決を下した。これには驚いた。これは韓国政府が事実上、日韓関係より中韓関係を優先するとのメッセージを発したのだと思う。
韓国政府内では当初、日本側に引き渡すべきだとの意見が主流といわれた。流れが変わったのが、昨年7月の中国の孟建柱公安相(当時)の訪韓だ。孟氏は劉容疑者に対して政治犯としての処遇を求め、自国への強制送還を公然と要求した。
この中国の対応はまさに韓国を冊封国として扱っているかのようだ。韓国と中国の歴史をわれわれは学ばないとこれからの東アジアは読めない。
朝鮮は前漢初期に衛氏朝鮮が冊封されて以来、紀元前3世紀ごろから、1895年に日清戦争で日本が清を破り、下関条約によって朝鮮を独立国と認めさせるまで、2000年以上ほぼ一貫して中国の冊封国であったのだ。