東日本大震災以降、大地震発生の危機感が高まっている。事前に揺れを察知するのが究極の安全対策だが、地震予知はまだまだ未知の分野。われわれの頼みの綱は、揺れの直前に鳴り響く緊急地震速報だけなのが現状だ。(夕刊フジ)
そんななか、動物の危険察知能力に目を付けた研究者がいる。大地震のたびに動物たちが起こす異常行動を研究し、「地震予知に役立てられないか」というのだ。「野生の勘」は切り札となるのか。
地震の前の動物の前兆行動について研究するのは、麻布大学獣医学部の太田光明教授(介在動物学)。太田氏は、1995年の阪神淡路大震災で数多くの動物の前兆行動が報告されていたことに着目。動物の行動と地震との関連性について調べてきた。
最近も、日本海で数百万匹の深海魚やクジラが打ち上げられる怪現象が相次いでいる。東日本大震災前にも、茨城沿岸に大量のイルカが打ち上げられた。
そもそも動物は地震の前兆をどうやって察知するのか。
「地震発生の前に地盤に圧力が加わりひずみが生じる。そこで異常発生した電磁波を感じ取っている可能性が高い。帯電したエアロゾルを感じている説もあります。そこで、動物に電磁波による刺激を与え、その反応を見る実験を行っています」(太田氏)