iPS新手法 マウスの脊髄損傷回復に成功 奈良先端科技大

2012.3.16 01:00

 さまざまな臓器や細胞に成長する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)から高品質な神経細胞のもとを効率よく作り、脊髄を損傷したマウスに移植して症状を改善させることに奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)などの研究チームが成功した。成果は15日付米科学誌ステムセルズ電子版に掲載された。

 iPS細胞を用いた損傷脊髄の修復は、これまでも慶応大などで研究されてきたが、移植用の高品質な細胞を効率よく作るには課題が多かった。事故による脊髄損傷などでの再生医療の進展が期待される。

 チームはヒトの皮膚から作製したiPS細胞を培養皿の底に接着・固定させて細胞分裂させ、神経細胞のもとになる「神経幹細胞」という細胞を作製。この中から高品質なものだけを選別し、これを再び増殖させて、脊髄を損傷したマウス9匹へ移植したところ、損傷部位が修復され、5匹が歩けるまでに回復した。

 iPS細胞から神経幹細胞をつくる際は、これまでiPS細胞を培養液の中で浮遊させる方法が用いられてきた。だが、この方法では細胞同士がくっついてしまい=図解、培養液に触れにくくなった細胞は、神経幹細胞になりきれなくなる上、くっついた状態から高品質な神経幹細胞だけを選別するのは困難で、できた細胞の品質にばらつきが出るのが課題だった。

 一方、培養皿の底に接着させる方法では、細胞が培養液にまんべんなく触れやすい上、高品質な細胞だけを簡単に選別できる。この方法は、肝細胞や心筋細胞を作る際には一般的だったが、ヒトiPS細胞から神経幹細胞を作るケースでは例がなかった。同大学の中島欽一教授は「霊長類でも実験を進め、より詳しい回復メカニズムを解明したい」としている。

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