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携帯大手新プラン ドコモ快走も他社は伸びず 大容量移行カギ

 携帯大手3社が3月に開始したオンライン専用の割安プランで、NTTドコモとほか2社で明暗が分かれている。いち早く発表したドコモの契約件数が180万超の一方、KDDI(au)やソフトバンクはドコモほど契約が増えておらず、割安のプランのため、収益悪化要因にもなっているようだ。ただ、各社の狙いは、第5世代(5G)移動通信システムの普及に合わせて割安プランで集めた利用者を大容量プランへ移行させることにあり、今後の戦略がカギをにぎる。

 減収影響も小さく

 「期待通りの純増数だ。若年層の契約増加が好調となっている」。NTTの澤田純社長はこう強調した。ドコモのahamo(アハモ)は積極的なテレビCMで拡大戦略を続けている。関係者は「格安ブランドを持たなかったドコモだけ、アハモに対する熱量が違う」と話す。

 対するKDDI(au)のpovo(ポヴォ)は約100万件にとどまり、ソフトバンクのLINEMO(ラインモ)にいたっては50万件にも満たないという状況だ。

 オンライン専用プランには、他社の契約者よりも、収益への貢献が大きい大容量プランの既存契約者からの移行の方が多く、利用者1人当たりの通信料収入を下げる要因でもある。

 しかし、ドコモは顧客の中心が高齢者で、小容量プラン契約が大半を占めていたため、1人当たり数十円の減少で済んだ。これに対してKDDIとソフトバンクは100円以上悪化しており、契約者数だけではなく減収影響の小ささでもドコモの独り勝ちといえる。

 5G普及後が勝負

 ただ、ソフトバンクとKDDIは、ワイモバイルとUQモバイルという格安ブランドで新プランの伸び悩みを補っていると強調する。

 ソフトバンクの宮川潤一社長は「ワイモバイルの契約件数が700万を超えており、(ラインモと合わせた)低料金を好まれる人は七百数十万」と余裕を見せる。KDDIもUQモバイルでは300万以上の契約者を抱えており、高橋誠社長は「(ポヴォより)UQにかなり宣伝の力を入れている」と述べた。

 とはいえ、各社が長期的な主戦場と狙いを定めるのは、高い料金がとれる大容量プランだ。今後さまざまな5Gサービスが普及すれば月20ギガバイトでは不足するようになり、需要拡大が見込めるためだ。格安プランで集めた利用者をどう大容量プランに移行させるかに向けた水面下の攻防が続く。(高木克聡)

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