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流通、飲料で「減プラ」加速 容器切り替えや再生樹脂

 流通や飲料メーカーの間で、専用容器を回収して再利用したり、商品容器にリサイクル素材を導入したりするなど、石油由来のプラスチックの使用量を減らす「減プラ」の動きが加速し始めた。消費者の環境意識の高まる中、商品・サービスにも環境配慮を打ち出すことで、価値向上とESG投資を両立させるねらいもある。

 イオンリテールは19日、米国発ベンチャーと組んで繰り返し使えるリユース容器を採用した食品や日用品6社の13品目を、東京など3都県のイオンやイオンスタイル計19店で25日から販売を始めると発表した。

 同社が提携したサービス「Loop(ループ)」では、菓子や洗剤など協業メーカーの商品を専用容器で消費者に販売し、使用後の容器を回収・洗浄して、メーカーが再利用する容器循環の仕組みを構築。商品価格は通常品よりも高いが、容器を返却すると容器代は消費者に返金され、アルミ缶登場前に一般的だった瓶ビールの販売・回収の仕組みに類似する。今回の取り組みでは、販売するイオンリテールの店頭に回収ボックスを設置する。

 イオングループは2030年までに使い捨てプラスチック使用量を半減する目標を掲げており、今年8月末までに導入店舗50店、品目数も来年春に約50品目に拡大させたい考えだ。

 良品計画も4月22日、無印良品で展開する飲料12品目の容器をペットボトルからアルミ缶へ切り替えると発表。担当者は「現時点ではアルミの方がリサイクルしやすい」と話す。容器変更で透過光による商品劣化がなくなり、消費期限も伸びる利点もある。

 飲料メーカーでは、使用済みペットボトルを原料にした「再生ペット樹脂」でペットボトルを作る水平リサイクル「ボトルtoボトル」の動きが進む。国内最大手の日本コカ・コーラは今月31日発売分から、炭酸飲料「コカ・コーラ」ブランド13品など一部商品の容器を、再生ペット樹脂100%に切りかえる。これにより、再生ペット樹脂使用比率は令和2年の28%から4年に50%になる見込み。

 業界団体の全国清涼飲料連合会(全清飲)も4月、ペットボトルの水平リサイクルの業界目標を令和12(2030)年に50%に設定すると公表した。米女太一会長(アサヒ飲料社長)は「サーキュラーエコノミー(循環型経済)を引っ張る非常に有効な手段」と話す。全清飲は業界目標の設定で、再資源化産業の投資意欲の拡大につながるともみる。

 PETボトルリサイクル推進協議会の調査では、令和元年度に販売商品に使ったペットボトル量59万3千トンに対するリサイクル率は85・8%。ただし、再びペットボトルに生まれ変わった量は前年比2・1%増の7万4200トンで、リサイクルされた量の12・3%に止まる。今後、業界団体やメーカーは再生材原料となるきれいな使用済みペットボトル回収に向け、行政などとの連携や消費者へのアピールを積極展開する方針だ。(日野稚子)

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