金融

兵庫県「国際金融都市」念頭に中国で外資系金融誘致に乗り出す

 海外の金融機関や投資家を呼び込む政府の国際金融都市構想をめぐり、兵庫県が香港や中国・広東省などで新たに金融分野の企業誘致を進めることが17日、分かった。金融とITを組み合わせたフィンテック分野を中心に、国内初の企業の進出を神戸市をはじめとする県内へ促す方針だ。

 神戸はネット金融大手のSBIホールディングスが大阪とともに国際金融都市の拠点にすることを目指しており、自治体の取り組みが加速することで構想実現へ大きな弾みとなる。

 国際金融都市である香港の政情不安を受け、政府は受け皿となる基盤整備を進めており、兵庫県は香港の現地事務所を通じて情報収集を進めていた。今後は、成長性がある金融機関やフィンテック企業の県内誘致に向けて既存の支援制度や立地環境をアピールする。従来の欧米中心の誘致活動から、香港や中国にターゲットを広げた形だ。

 井戸敏三知事はこれまでも国際金融都市を目指す上で「兵庫がポテンシャル(潜在能力)を持っていることは間違いない」と言及していた。

 神戸市も兵庫県と連携を進める。国内金融大手やSBIと情報交換しているほか、外資系企業誘致の支援策活用を検討する。

 関西全体での実現へ加速

 兵庫県が金融分野の外資系企業誘致に乗り出す香港や中国・広東省には、有望なスタートアップ(創業間もない企業)が集積する。誘致が実現すれば、これまで大阪中心に進められていた国際金融都市構想が関西全体での取り組みとして加速することが期待される。

 大阪府の吉村洋文知事は「船頭が多いと決定が遅くなる」として、大阪独自の取り組みを優先する構えで、地元経済界との協議を進めてきた。

 ただ、構想の旗振り役となったSBIホールディングスの北尾吉孝社長は「海外から誘致し、最先端のテクノロジーを活用して大阪・神戸で金融センターをつくる」と明言。関西経済連合会の松本正義会長も「関西として連携する必要がある」と述べ、広域連携の重要性を指摘していた。

 兵庫県の井戸敏三知事はこれまで「大阪、神戸の協力は不可欠」と説明。「県や神戸市だけで構想は実現できない」(県幹部)ことを踏まえて、連携へ大阪側に秋波を送っていた。

 一方、SBIを中心に国際金融都市に向けた基盤整備は進んでいる。同社が出資する大阪堂島商品取引所は、コメ先物以外にも商品を拡大し、総合取引所化を目指す。オランダを拠点にする海外ファンドの出資も決まり、国際的な取引所に変わりつつある。SBIは三井住友フィナンシャルグループと共同で、証券取引所を介さずに株式などを売買できる私設取引所も大阪に開設する。

 神戸市幹部は「(自治体でつくる)関西広域連合で議論できればいい」と話しており、兵庫県の誘致活動本格化で経済界を巻き込んだ国際金融都市実現への機運が高まりそうだ。(岡本祐大)

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