ＡＮＡホールディングス（ＨＤ）は２９日、定時株主総会を開催した。片野坂真哉社長は、６月末までに借入金や融資枠の設定で１兆３５０億円の資金を確保する見通しとなったことを株主に強調。「純民間企業として数多くの危機を乗り越えてきた。今回の新型コロナウイルスの危機も乗り越えて事業を成長軌道に戻す」と述べ、自助努力による経営の立て直しを進める考えを示した。
世界の多くの航空会社と同様にＡＮＡＨＤ傘下の全日本空輸も、新型コロナで運航便数が激減しており、株主からは資金調達への懸念が相次いだ。
片野坂社長に続いて説明した財務担当の福沢一郎常務は、６月末までに５３５０億円の融資を確保。５千億円の融資枠を設定したことを明らかにした。ＡＮＡＨＤは４月２８日時点では９５００億円の資金を確保できるとの見通しを明らかにしていたが、さらに８５０億円増やす。
福沢氏は、運航便数が激減する中でも、毎月８００億円程度の固定費がかかっていることを説明した上で「都道府県の移動が解禁された６月１９日以降、少しずつ収入は戻っており、国際貨物の収入もある。引き続きキャッシュフローはしっかり見ていく」と述べた。
株主からは「ＡＮＡが日本航空の一部を買ったという報道もあったが」と航空大手の再編についての質問も出たが、片野坂氏は「そういう事実は現時点では全くない。自立していくと明言したい」と強調した。