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脱渋滞へ、車が走るセンサーに 五輪に向け官民が情報を統合 収集網倍増へ

 東京五輪・パラリンピックの渋滞対策で、走行中の自動車を“走る渋滞センサー”として首都圏の渋滞情報網を倍増させる、官民連携の実証実験が4月に始まることが8日、分かった。現状は道路側の固定センサーから情報を得ているが、自動車やカーナビゲーションのメーカー側が取得しているリアルタイムのビッグデータを統合。情報がくまなく集まって回避ルートなどの対応が取りやすくなる。大会期間中の渋滞抑制に大きな一手となりそうだ。

 現在、公益財団法人「日本道路交通情報センター」(JARTIC)と一般財団法人「道路交通情報通信システムセンター」(VICSセンター)が提供している渋滞情報は、警察や自治体、高速道路会社などが道路側に設置した無線機器「ビーコン」で検知する情報がベースとなっている。

 ただ、設置はもともと渋滞が起きやすい路線や幹線道路に偏り、定点情報しか得られない。このため、今回の実験対象の1都6県(東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬)では高速道・一般道計約6万キロのうち3割(約1.8万キロ)しか対応できていないという。

 実験では、自動車やカーナビの主要メーカーが車載通信機などで独自に取得している車両の時刻・位置・速度のリアルタイムデータ「プローブ情報」を、匿名化したビッグデータとして提供してもらう。これでカバー範囲は最大7割(約4.2万キロ)と2.3倍に増加。全国に4000万台以上あるVICS(道路交通情報通信システム)対応カーナビ搭載車のドライバーは、実験地域では小規模な道路など従来は情報が表示されなかった道の渋滞も分かり、回避しやすくなる。

 メーカー各社は自社の車データで独自サービスを加えている状況だが、集まるデータが増えればルート検索精度が高まり、社会全体の渋滞や排ガス、二酸化炭素のさらなる抑制も期待される。

 実験での情報発信先はカーナビのみで、秋までの予定だがVICSセンターは「結果を踏まえた上で本格実施につなげ、首都圏以外にも広げたい」としている。(今村義丈)

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