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おでんがピンチ 欧米で消費増で「すり身」高騰 秋冬商戦向け値上げ検討

 おでんやかまぼこといった魚肉練り製品の原料、すり身の輸入価格が高騰している。欧米や中国で魚の消費が増えているためだ。物流費や人件費の上昇も重なり、月内にも始まる練り製品の秋冬商戦に向け、値上げや新商品の絞り込みを検討する動きが広がる。

 財務省貿易統計によると、主力のスケトウダラすり身の輸入価格は2017年春ごろから上昇。今年6月は1キログラム当たり約401円で2年前と比べ約3割値上がりした。

 練り製品の世界最大の消費国とされる日本は、すり身の多くを輸入し国内で加工している。輸入量のほとんどを米国産スケトウダラが占める。

 一方、欧米や中国では健康志向の高まりなどから魚の切り身の消費が拡大。スケトウダラの漁獲量は米国が大半で「各国から引く手あまた」(関係者)という。スケトウダラを切り身に回す動きが加速し、海外ですり身価格上昇につながった。

 大手水産商社の担当者は「海外需要は引き続き旺盛。値下がりの要素はない」とし、価格の高止まりが続くとみる。日本水産や紀文食品が今年3月に練り製品を値上げするなど水産加工メーカーは苦境に立たされている。「努力はしているが価格上昇分の穴埋めはできていない」(メーカー担当者)と明かす。

 大手コンビニは今月、おでんの販売を一斉に開始。おせち料理向け練り製品の商戦も近く本格化する。ある水産加工大手は新商品を例年より約2割減らし「効率化を図る」(担当者)という。だがコスト増を吸収できないメーカーでは値上げも選択肢となりそうだ。

 練り製品業者でつくる日本かまぼこ協会の奥野勝専務理事は「すり身価格とともに物流費や人件費も上がり、メーカーの努力を超えている」と苦慮している。

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