マネジメント新時代

「景気後退の嵐」に備え身構え必要 (1/2ページ)

 夢のあるモビリティーとして、完全自動運転車や「空飛ぶクルマ」など話題となっている。自動運転車と「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)を連携させたアイデアなども、数多く提案されている。それはそれでよいが、脚下照顧してみると、日産自動車の2019年4~6月期営業利益が99%減少するなど、自動車各社の経営状況が急激に悪化している。今回は自動車業界に起きていることを考えてみたい。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

 CASEと現状

 近未来の自動車は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」の時代だといわれる。16年のパリモーターショーで独ダイムラーのツェッチェ会長が提唱し話題となった。歴史を遡(さかのぼ)ると、自動運転は04年に開催の米国防高等研究計画局(DARPA)主催のロボットカーレース「グランド・チャレンジ」が起点となっている。カーシェアリング大手ウーバーも09年に設立され、営業を開始している。このように各要素は以前からあったが、「CASE」は響きも良く、流行語の一つになった。

 一方、自動運転は実用化という面では厳しい現実に直面している。ドライバーが監視し、特定条件下で自動運転機能が作動するレベル1~2までは、ADASの各機能も開発され実用化が進んできた。しかし、コンピューターシステム監視が中心となるレベル3(条件付き自動運転)、レベル4(特定条件下による自動運転)、レベル5(完全自動運転)などは、クルマのみならず通信、地図、都市インフラ、法規制などの問題もあり、多くの企業が開発・実証試験を行っているものの、実現にはまだまだ時間を要する状況である。

 このような環境下、これまで順調に推移してきた自動車産業にて、18年から変調が起きている。欧米中などで販売台数が低下しており、19年になってむしろ悪化してきた。今年1~6月期の集計では、米国が前年同期比2.4%の減少、欧州(AECA調べ)は3.1%減、中国は12%減となった。中国の場合、このまま推移すれば、18年の2808万台に対して2500万台を割る可能性が出てくる。母数が大きいだけに、12%減といっても300万台以上の減少となってしまう。

 日本では、日産のほか、三菱自動車工業も4~6月期営業利益が前年同期比86%減となっている。ダイムラーも、中国での販売伸び悩みや排ガス対策などで費用がかさみ、同期は13億2800万ユーロ(約1600億円)の最終赤字を計上している。自動車業界全体の同期の業績は相当厳しくなると予想される。

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