遊技産業の視点 Weekly View

ホールでは予防 実効性ある依存対策

 □ワールド・ワイズ・ジャパン代表、LOGOSプロジェクト主幹・濱口理佳

 6月中旬に第2回パチンコ依存対策勉強会が、全国に店舗を展開するパチンコホール企業を含めた14社により開かれた。1回目は、1月30日にホール企業大手5社がパチンコ依存対策についての共同声明を発表した際に行われたが、依存に対する学びと対策の輪を広げていきたいとの思いのもと、今回の拡大開催に至った。

 当日は認定NPO法人リカバリーサポート・ネットワーク代表理事で精神科医の西村直之氏が講演で企業や立場が違っても共有できる「依存」に関する正確な知識を伝えた後、ワークショップ形式でのケーススタディーを実施。14社のホールスタッフ計105人がランダムに分けられたグループの中で、それぞれに与えられた実際の相談事例についてお互いの考えをぶつけ合いながら、有効だと思われる対処をまとめて発表した。

 1回目も今回も、参加したホールスタッフが全員、真剣なまなざしで勉強会に臨む姿が印象に残っている。「お客さまを笑顔にする接客がしたい」「この業界の未来を切り開きたい」との志を持って遊技産業の扉をたたいた彼らにとって、依存への取り組みも“誇りを持って働く”ための重要な取り組みの一つに他ならないのだろう。

 世間では、いまだに厚生労働省のギャンブル依存症調査で「生涯のうちに一度でも依存症だった疑いのある人」の数値として発表された約320万人について、この人数が現在の依存症患者数であるかのような誤解を与える表現をするマスコミもある。だが実際にいま、問題視しなければならないのは、直近1年間に依存症だった可能性のある約70万人の中で、実際に病的賭博(ギャンブル障害)に陥っている人々であり、彼らを医療機関など専門施設によるケアに導くことだ。そして現在、適度に遊んでいる多くの人々が問題のある状態に陥らないための予防活動が極めて重要になってくる。

 常に顧客と接するホール現場でできるのは、この予防の部分だ。世界でも活気的な取り組みとされる「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」の育成・配置をはじめ、レスポンシブルゲーミング(責任あるゲーミング)の考えのもと、建前ではない実効性のある依存対策が遊技業界で進められつつある。

【プロフィル】濱口理佳

 はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。

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