ラジオが大きく変わりつつある。民放連がAM放送をFM放送に一本化できるよう制度改正を要望。インターネットによるラジオ番組配信サービスの「radiko(ラジコ)」をめぐっても、FM連携スマートフォンの発売など新たな動きが相次ぐ。
山口県周南市の瀬戸内海に浮かぶ大津島。サッカー場ほどの敷地に、高さ約100メートルの細いアンテナが立つ。同市に本社を置く山口放送(KRY)のAMラジオ送信所だ。
南海トラフ巨大地震で津波が想定される場所。実際に東日本大震災では東北地方沿岸部の送信所が被害に遭い、放送が一時途絶えた。「災害時こそラジオが必要なのに、送信所がつぶれたらどうしようもない」。KRYの山崎浩介専務が語る。
再生の切り札
AMは山口県をはじめ日本海側で外国電波の混信がひどく、都市部でもビルの増加で受信しにくい。総務省は災害対策として2014年、AMの番組をそのままFMで流す「ワイドFM」に補助金を出し始め、KRYも応募した。ラジオ経営が厳しい中、約12億円かけて13のFM送信施設を昨年までに整備し、ほぼ全県をカバー。送信所は県中央部の山頂につくった。