事業再生の手法でよく行われているのが「経営改善計画書」の作成だ。経営改善計画書は、業績が低迷する再生企業が、数年で銀行への返済が約定通りに戻れるよう売り上げや利益を改善させるために作成する将来の損益計算書を指す。本来は、再生のための具体策であるアクションプランを前提として作成されるもので、改善策と数字を結びつけて、中身のある計画の作成を追求していく必要がある。(レヴィング・パートナー代表取締役・寺嶋直史)
しかし、多くの経営改善計画書は数字だけ示され、再生のための具体的な施策が明記されていない。計画書にある収益改善の裏付けとなる根拠が示されていない。再生企業は、問題が発生し改善されないから、業績悪化が続き「再生企業」に陥った。問題点を一つ一つ究明して改善しなければ再生しない。問題点の改善策を示さないどころか、問題点さえ指摘せずに、数年後には業績が改善するという計画では再生はおぼつかない。
なぜ、このようなことになるのか。経営改善計画書は、中小企業だけで作成するのは難しい。そこで5年ほど前に、通称「405事業」という制度ができた。計画書作成時にコンサルタントや税理士の支援を受けられるよう国からその費用の3分の2、上限200万円の補助金が受けられる制度だ。