衆院総務委員会は16日、電波利用料の増額などを柱とする電波法改正案の質疑を行った。立憲民主党などの野党は、現行法で3年ごとに見直す電波利用料を1年前倒しで約130億円増やす理由を追及した。
石田真敏総務相は、高速大容量の第5世代(5G)移動通信方式の年内実用化を見据え「光ファイバー網整備への支援など今年度から計画的かつ着実に執行する必要がある。毎年度の電波利用料で賄うことが適当だ」と答えた。
電波利用料は、電波の適正な運用に必要な費用を携帯電話事業者や放送局が共益費として国に支払う。法改正により放送局は全体で約3割、携帯事業者は約2割の負担増となる見込み。
野党は、ほぼ毎年度にわたり電波利用料の歳入が歳出を上回り、国庫に納入される「剰余金」に焦点を当てた。総務省によると、累計額は平成29年度末時点で約970億円に上る。
立憲民主党の岡島一正氏は「剰余金を使わず、なぜ電波利用料を値上げするのか」とただした。総務省の谷脇康彦総合通信基盤局長は、緊急性がある政策に剰余金を使うとして「電波利用料は3年間維持され、安定的に5Gの関係施策に充てる観点から改定する」と説明した。また、「利用料のあり方を不断に見直し、歳入と歳出の差額を適切に活用できる仕組みを検討する」とも語った。
改正案は18日の衆院総務委で、与野党による質疑を経て可決される見通し。