【遊技産業の視点 Weekly View】新紙幣発行と遊技業界

 □ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー POKKA吉田

 9日、麻生財務相が2024年に新紙幣と新硬貨を発行すると会見で発表した。一万円札、五千円札、千円札、五百円硬貨が変わることになる。パチンコ・パチスロの客は、その全てが現金商売だ(ごく少数のデビットカードも含む)。そして、全国的に、どんなホール店舗でも、遊技機1台に客は1人だけ。その客は自身が座っている遊技機に備え付けられている投入口に現金(ほとんどが紙幣)を投入して玉やメダルを借りる。1台ごとに紙幣識別機があるわけだ。

 2004年の新紙幣発行後、ホール店舗においてユニット入れ替え需要がかなり急増している。少し前に二千円札が発行されたこともあり、全ての種類の紙幣を識別できる新商品をユニット業者各社が販売した。ホール側もかなり入れ替えをしており、ちょうどこの頃から「全ての台に紙幣識別機能」というのも一般化していった。それまでは「隔台」も普通だったし、もっと前は「島の入り口に1つの玉貸し機」というのもあった。

 いま考えると、ぱちんこ営業において営業単位面積あたりの紙幣識別機の導入数は他業種を圧倒する。それらが2024年に入れ替わるということは、ぱちんこ業界向けユニット設備業種にとっては特需になるだろう。

 ホール職域は、こういった「政府などによる強制的な設備投資」を伝統的に嫌がる。だから「特需」という言葉にかなり強い反発を示すことが多い。このため、特需という言葉を私もあまり使わないように気を付けている。しかし、今回は、タイミング的には令和への移行があり、天皇陛下の退位と即位がある。業界的にはあと2年後に全ての遊技機が改正規則機に入れ替わる。各社、課題の山を越えたあとの今から5年後の新紙幣発行だ。

 現金商売の代表格であるぱちんこ業界は、この件、案外、対応力があると私は見ている。政府の思惑どおり、偽造防止対策と経済効果があるなら、ポジティブに受け取ってもいいかもしれない。

                   ◇

【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名は岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月より本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。

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