傷口に塗ると赤色になることから「赤チン」の愛称で親しまれた消毒薬「マーキュロクロム液」の国内生産が令和2(2020)年末で終わることが16日、分かった。日本で唯一のメーカーとみられる三栄製薬(東京)が生産をやめると明らかにした。昭和世代になじみ深い製品がまた姿を消す。
赤チンはかつて家庭や学校の常備薬の定番だった。しかし、水銀が原因の水俣病が公害に認定され、生産過程で水銀を含んだ廃液が発生することから、昭和48(1973)年に原料の国内生産が終了した。
三栄製薬などは海外から原料を輸入して生産を続けたが、同46年に無色透明の消毒薬「マキロン」が登場し、売れ行きは落ち込む一方だった。根強いファンから「いつまでもつくり続けて」などの声も寄せられるという。