大日本住友製薬、新薬候補の投資に最大6千億円 新中期経営計画で

 大日本住友製薬は11日、令和5(2023)年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。中計期間中、新薬候補の取得を目的としたM&A(企業の合併・買収)に関して、3000億円から6000億円の枠を設ける計画を盛り込んだ。同社の収益の柱である抗精神病薬「ラツーダ」の独占販売期間終了後の令和5年度以降の減収を補う狙いがある。

 中計は昨年度からスタートしていたが、米国で後発品メーカーに対してラツーダの特許侵害訴訟を行っていたため、発表を延期していた。和解が成立し、この日の発表となった。

 大日本住友は「精神神経領域」「がん領域」「再生・細胞医薬分野」を重点3領域として革新的新薬の開発を目指すほか、デジタル技術などを活用した従来の医薬品の枠を超えたヘルスケア事業を充実させる方針。令和5年3月期の連結業績目標として売上高6000億円(平成30年3月期は4668億円)を掲げた。

 同社の野村博社長は「社会もテクノロジーも制度も、あらゆる場面で変化が求められる時代に、われわれも変革を遂げ、ヘルスケア領域での社会課題解決を行っていく」と述べた。